スカイメモRS

(2024年7月18日更新)




  スカイメモは、現在、ケンコー・トキナー社から中華製のOEMとして、「スカイメモS」、「スカイメモT」の製品名で販売されていますが、2013年くらいまでは生粋のメイドインジャパンのポータブル赤道儀として販売されていました。別に中華製だからといってケチをつける気はありませんが、実際に使ってみて、その堅牢さ、追尾精度等はメイドインジャパンならではの信頼度があります。

 私の所有するスカイメモは、そんなメイドインジャパンの時代の最終形である「スカイメモRS」で、2010年くらいに購入しました。当時は、大きな筒を使って天体写真を撮ることが多かったので、手軽に流星写真や星野写真でも撮りたいという思いがあり、評判の高いスカイメモが大阪の協栄産業で本体と純正三脚、ウエイトシャフト、2sのウエイトのセットで7万円ほどで売り出されていたこともあいまって、衝動買いのような形での購入となりました。

 その後、名機スカイメモは惜しまれつつ販売が終了となり、数年後、中華製の機械となって復活したのですが、今となればオーストラリアに遠征に行ったり、海外に日食を見に行くようになったりしたこともあり、最終形のスカイメモRSを購入しておいて大変良かったと思います。現在では、もっと小型のポータブル赤道儀があり、「ポータブル」と言えなくなった同機ですが、程度の良いスカイメモR、RSがヤフオクなどで2万円程度で購入できますので、これから手軽に天体写真をはじめようという方には、大変おすすめの機械のひとつです。

 さて、そんなスカイメモですが、遠征用に使いやすくするため、カスタマイズを重ねてきました。どのようにカスタマイズしているかご紹介したいと思います。


三脚の変更
 
スカイメモ純正三脚
(ケンコー・トキナーのHPより引用


スカイメモを載せたカメラ三脚(2013年


現在使用している三脚
  2012年にオーストラリアのケアンズで皆既日食があり、ついでに南天の星空も撮影しようと、このスカイメモを持って行きました。

 ただし、純正の三脚は、左の画像のようにスーツケースに収めるには大きく、重量もあり、限られた飛行機の受託荷物の制限内では無理があると判断し、三脚を変更することにしました。

 幸い、スカイメモの底面にはユニファイ1/4インチの所謂カメラネジが切ってあり、普通のカメラ三脚に載せることができます。

 そのため、搭載重量が8sほどの少し頑丈なBENRO製アルミ三脚(A1580T 販売終了)を購入しました。この三脚は、水準器と小さなコンパスが内臓されており、大変便利な三脚でした。当時は、APSサイズの一眼デジカメの2台載せでしたが、自由雲台も含めてそんなに重量が無かったので、これでも十分に使うことができました。

 しかしながらさすがに1点止めでスカイメモを三脚に載せるのはたよりないので、間にアルミプレートをかまして2点止めとし、左の画像のように協栄産業製の低重心ガイドマウントの上にスカイメモを載せました。そんなオーストラリア遠征を始めたころに使用していた三脚を含めたシステムが左の画像となります。

 しかし、この三脚も、フルサイズのカメラに変えたり、レンズもよりFの明るいものに変えるなどシステムが大きくなるにつれ、搭載重量に不安が出るようになり、現在の搭載重量15sのBENRO製カーボン三脚へと変更いたしました。

 現在使っているものは、BENRO製C3190T(販売終了)という三脚です。購入時、すでに新品での販売は終了していましたが、たまたまヤフオクに美品が新品の半額程度で出ていたので、すぐに落としました。

 この三脚の特徴は足を畳むと50pほどと小さくなり、フラットな板状になることから、スーツケースにも大変入れやすく、これが購入の決め手となりました。難点は、水準器がついていないことですが、購入後、水準器を三脚の肩のところに貼り付けて解決しました。

 今では遠征に欠かすことができない三脚です。
コマの入れ替え
 スカイメモRSは、赤経体アームが至極簡単な構造で、本体の回転体にクランプで締めるだけのものとなっています。通常の赤道儀を使用していると、何とも不安な作りですが、極軸あわせとバランスさえしっかりあっていれば、ノータッチで十分ガイドしてくれます。

 ただ、随所に不安な部分もあり、そのひとつが自由雲台やカメラを取り付けるためのコマです。そもそもスカイメモは、公称2.5sまでの機材をガイドできるとなっていますので、カメラに短焦点のレンズ+小型の自由雲台という組み合わせなら、ほとんどの場合、これに収まるので、問題はないでしょう。

 しかし、機材が大きくなり、大口径レンズにフルサイズのカメラ、それを載せる強固な自由雲台の組み合わせとなりますと、ゆうに2.5sをオーバーし、この重量を純正コマで保持するには、何とも心許無い感じです。

 そんな頃、福岡のK-astecさんから、より強固なスカイメモ用のコマ(製品名はスカイメモR用M12-UNC3/8アダプター)が発売(現在は終売)され、早速アームの両端用に2つ購入、純正のコマと入れ替えを行いました。このコマは、赤経アームのバランスシャフトを取り付ける場所に、ねじ込みで取り付け、その後回転しないように、元あったクランプのネジ穴を使って固定ネジで締めるようになっています。このおかげでよりしっかりと固定できるようになったことに加え、太くなったことから安心感も増し、また、片方はUNC3/8インチの三脚ネジになっているので、アマゾン等で販売されている中華製の自由雲台などをネジのアダプターなど使わずに取り付けることが可能となりました。

 この交換により、もう片方にバランスウエイトを付ける必要がありますが、不安なく300oF2.8 などの大きなレンズをつけたカメラを載せることができるようになり、スカイメモを使った撮影の幅が広がりました。
 
純正のコマ(右)とK-astec製のコマ(左)
 
コマの入れ替え(左が純正、右がK-astec製)
 
コマを入れ替えたアーム



極軸導入用微動装置とアルカスイス化

 スカイメモ本体を三脚へ搭載する際、純正三脚ですと付属の微動装置付きのガイドマウントへ2本のM8ネジで固定するようになっています。ただ、当然ですが、三脚を変更したことにより、これが使えなくなりました。

 当初、自由雲台を取り外した三脚に、協栄産業から発売されていた「低重心ガイドマウンド(販売終了)」を取り付け、その上にスカイメモを載せて運用していたのですが、やはり単なるガイドマウントであることから、仰角がせいぜい12度程度。それより高いところに向けようとすると、三脚の傾きで調整しないといけません。南緯15度のケアンズあたりでは、なんとか調整できましたが、それよりも高緯度に行った場合、三脚がバランスを崩し転倒のリスクがあります。

 そこで、K-astecさんから販売していたXY50D(販売終了)という微動装置を導入することにしました。この微動装置は、さすがK-astecさんの製品、重量級の機材も搭載できるほど堅牢で、動きもスムーズな上、一度ロックすると、めったにずれることはない素晴らしいつくりでした。また三脚との接続も、微動装置の底部に3/8ネジが切ってあり、たいへん簡単に行うことができました。

 その後、より小さく低重心のXY60が発売されたことから、そちらの方に入れ替えました。これらのK-astecさんの製品は、すべて手作りのため、在庫が尽きたら再販されることが少ないので、ある時に買っておかないといけません。

 また、スカイメモの搭載が簡単にできるように、スカイメモ本体にアルカスイスプレートを取り付け、ワンタッチで接続できるようにしています。

 アルカスイスプレートは、アマゾンで15pの中華製のものを1500円程度で購入しました。これをもともとスカイメモ底部にあったM8のネジ穴に適合するように、アルカスイスプレートにM8用の穴を開け、低頭ネジで固定しています。プレートは本体に取り付けたままにしてあるので、これで組み立て、分解がかなり迅速にできるようになりました。

K-astec製XY50Dに載せているスカイメモ(レンズは300oF2.8)
 
現在使用している微動装置XY60
 
スカイメモ底部に取り付けたアルカスイスプレート

アルカスイスプレートで接続したスカイメモ
パノラマヘッドへの変更
 次に変更したのは、赤経アームの片方をパノラマヘッドにしたことです。amazonで中華製を3,000円ほどで購入したのですが、意外と作りもきちんとしており、しっかりとクランプを締めれば、勝手に回転することはありません。

 アームへの接続は、このパノラマヘッドにも底部に3/8ネジが切ってあるので、変更したK-astec製のコマにそのまま付けることができました。

 これにより、赤緯方向への回転が可能になり、普通の赤道儀的な使用ができるようになりました。このアームは片方が短く、片方が長く作られていますので、短い方に重量級の機材を載せても、2s程度のウエイトでバランスが合うようになっています。接続は、アルカスイスとすることで 機材の変更も簡単に行うことができるようになりました。
 
取り付けたパノラマヘッド


モバイルバッテリーからの電源の供給
 
スカイメモ付属の電池BOX
  スカイメモの電源は、単2乾電池を4本使い、DC6Vで駆動するようになっています。内臓されているモーターがパルスモーターのおかげで消費電力が非常に少なく、これまで、海外遠征時には出発前に新品の電池を入れておけば、最大4夜程度の遠征でも、電池交換をしたことがありません。現在売られている安価な中華製の赤道儀などは、その多くがDCサーボモーターが使われていますので、消費電力が高く、頻繁に電池交換が必要なことを考えれば、大変経済的と言えるでしょう。

 しかしながら、時代も変化し、容量が高く、繰り返し使えるモバイルバッテリーが数千円で売られるようになりました。このスカイメモを見ても、単2のアルカリ電池4本で300円〜400円しますので、電池5セット分の金額で、汎用的に使える10,000mAhのモバイルバッテリーがamazonで買えることになります。
 
 そこで、このスカイメモもモバイルバッテリーを使えるようにするべく、改良に踏み切りました。

 改良と言ってもモバイルバッテリーとスカイメモをつなぐ電源コードを変えただけなので、大したことは行っていないのですが、スカイメモは、センターマイナスでDC6V、最初、amazonあたりで探してみると、一般的なセンタープラスの12Vへの昇圧ケーブルは安価にあるものの、スカイメモにそのまま使えるものは、見当たりませんでした。

 そして見つけたのが、ヤフオクです。ヤフオクはかゆいところに手が届くような小物をご自分で製作、販売されている方が多く、特に広島県の出品者IDgardenさんは、自動導入やオートガイド関連、ケーブル関連の便利小物を多数出品されています。

 というわけで、今回のケーブルはこの方から落札させていただきました。落札後、コネクタの形状、極性、出力電圧などを指定すれば、その機器にあったケーブルを作ってくれますので、下の画像のとおり、私のスカイメモにもばっちり合い、これで遠征に行く度に電池を新しく買い替える必要がなくなりました。
 
 
ヤフオクで購入したケーブル
 
モバイルバッテリーから給電しているスカイメモ

スカイメモRSの最終形(たぶん・・・) オートガイド
 スカイメモは、皆さんご存じのとおり、赤経方向だけの一軸追尾のポータブル赤道儀です。10年以上使用してきて、極軸がきちんと合っていれば、南半球での撮影も含め、ノータッチで3分露出くらいなら、300oのレンズでもガイドは良好で、とくに不満はありませんでした。

 しかしながら、新型コロナウイルスに伴う海外旅行自粛期間中に、ラセルタの「M-gen3」を購入してしまったせいで、スカイメモもオートガイドをやってみたくなりました。もともと、別に所有するタカハシε-160+EM200赤道儀でオートガイドをするために購入した機材だったのですが、焦点距離の長い筒でもノータッチに比べ正確な追尾ができることから、スカイメモにも1軸ガイドにはなりますが、使ってみようという気になったのです。
  
 しかし、スカイメモRSをオートガイドするためには、オートガイドアダプターが必要です。結構昔、K-astecさんが、製作、販売をしていましたが、今では終売となっています。となると、ここで頼りになるのが広島県のgardenさんです。早速、ヤフオクから「スカイメモRS専用オートガイドアダプタ」を落札させていただきました。
 
 
スカイメモRS用オートガイドアダプタ
 
 スカイメモにアダプタを取り付けたところ
 2024年のオーストラリア遠征では、FS-60CB+レデューサー+ZWO ASI2600MC DUOの組み合わせで、一コマ5分露出とし、M-gen3でオートガイドを行いました。結果は、画像のコーナーにありますので、そちらをご覧下さい。

 これで、あとは自動導入機能だけ・・・・。いや、もうスカイメモのカスタマイズはこれでいったん終了とします。