撮影地その1
マリーバ(Mareeba)
(2017年6月1日一部更新)

 



画像右がケアンズ方向、左がマリーバ中心部方向
 2012年、皆既日食の観測のために初めて渡豪したとき、皆既日食を見た日の夜、せっかく南半球に来たのだから、南天の星空も撮影したいということで、急遽、現地でレンタカーを調達して向かった場所です。撮影地の検討は、前日、グーグルアースのストリートビューで行いました。

 撮影場所は、ケアンズから西へ1時間弱、オーストラリアを横断するように作られた国道1号線、「ケネディハイウエイ」を走ったところにある人口約1万人の街「マリーバ」。

 観光地で有名なケアンズ郊外にある「キュランダ」を通り過ぎてしばらく走ると、徐々に樹木の背丈が低くなり、ユーカリとアリ塚が目立つようになってきます。

 そしてマリーバの中心部から10qほど手前くらいから、農場や牧場などが広がり、視界も抜群になります。

 撮影は、そんな農場近くの国道1号沿い、高さ2mくらいの大きなアリ塚があることから、その後、仲間内で「アリ塚ポイント」と呼ぶようになった場所で行いました。ここに決めたのは、ロケーションが良かったことはもちろんですが、初めての海外の土地、また当然ながら夜間ということもあり、万が一のトラブルに巻き込まれた場合、多少の車の往来がある方が安心というのもあったためです。

 
撮影地のロケーション(Google earth のストリートビューより)
撮影地のそばを通る制限速度100qのケネディハイウェイは、画像奥、西北西方向に伸びています。

2017年5月に訪問したときのアリ塚ポイントの様子。左にある細いユーカリの木がいい雰囲気を醸し出しています。
画像正面が南。ご覧のとおり、ロケーションは抜群です。

空の暗さ


 国道1号線と言えば、日本では東京から大阪まで至る交通の大動脈で、車の量も非常に多く、とてもそんな幹線道路のそばで、星の撮影をしようとする方はいらっしゃらないでしょう。

 しかし、ここはオーストラリア。明るいうちは、それなりに車は通るものの、夜8時を過ぎると極端に車の量は減り、撮影が本格的になる夜10時以降は車が通るのは3分間に1台くらいのペースとなります。

 また、日本では幹線道路沿いには夜間、明々と街灯が灯っているのが普通なのですが、オーストラリアでは野生動物保護の観点から街の中心部以外は街灯がまったく設置されていません。

 そのため、国道1号線から100mほど南に離れると夜空は結構暗く、国道のすぐ南側でも、車が時々通る国道方向(北方向)を撮影しなければ問題なく星の撮影ができます。また、西にマリーバの中心部があるのですが、こちらも右の画像のとおり、西の低空を避ければ、光害の影響はほとんどありません。

 ここのマリーバの空の暗さを表現するとすれば、日本国内では人里離れた山間部の星空、または天体写真撮影のメッカとなるような空の暗い場所と同程度です。
 
マリーバは晴天率も良く、国道1号沿いには年間300日晴れる
というサインボードが設置されているほどです。

追記 2017年の訪問時には、看板が変更されていました。


アリ塚と南天の天の川
画像左が東、南十字、コールサックが見えるあたりが真南
撮影データは画像のコーナーを参照


アリ塚ポイントでの天の川
撮影データは画像のコーナーを参照
画像左が南、画像正面から右側がマリーバ中心部の光
注意すること 

 あらかじめお断りしておかないといけないことは、この場所は道路やアリ塚がある近辺の路肩を除けば牧草の育成地、すなわち私有地です。よって、このポイントで撮影をされる場合は、むやみに奥まで入り込まず、できるだけ道路に近いところで行うのが良いでしょう。
 幸い、この場所の南側にある民家に続く道路(未舗装)があるので、そこで撮影をしても大丈夫ですが、ごくたまに車が通るので注意が必要です。

 また、現地の人から見ると道路淵で複数の人間があやしげな機械を組んで暗闇で何かしていると、不審な団体に思われたりすることもあります。ただ、現地の人は比較的フレンドリーですから、もし声を掛けられた場合は、

  I have come from Japan.
  I'm taking astrophotography here.

とでも答えておけば、特に問題は無いでしょう。


国道から100mほど南で撮影した北の空
撮影データは画像のコーナーを参照



ケアンズ近郊の光害
Cooperative Institute for Research in Environmental Sciencesのホームページより)
  
 2013年に渡豪したとき、ちょうど北の空に北斗七星が見えていましたので、試しに国道方向を固定撮影で撮影してみました。日本では空高く見える北斗七星も、マリーバでは北中したときに伏せた状態で低く見える程度です。(写っている車はレンタルしたパジェロ)
 また、光の線は、国道1号線を走る車のライトで、この画像をご覧になっても、国道を走る車の影響はほとんどないことが分かります。

 結局、この場所は、ケアンズから近く、また国道1号線という制限速度100q(ただし、場所によっては80km、ケアンズ市内やキュランダ近辺は60q制限)で快適に走れる道路沿いにあることから、ケアンズ市内にホテルを取った時にはメインの撮影場所となりました。