撮影地その3
チラゴー(Chillagoe)
(2017年6月2日更新)
チラゴーの街 チラゴーオブザバートリ―&エコロッジに宿泊しました。 撮影ポイントは、そこから1qほど離れた空港の近くです。 (Google earthより 画像上が北) |
チラゴーへ行くきっかけ 2回目のオーストラリアから帰ってきて、数か月後、天文ガイドを見ていると、 オーストラリアでの天体写真撮影紀行が特集されていました。 それを見ると、ケアンズから内陸へ直線距離で約200q、チラゴーという街が紹介されており、宿泊は天文台があるロッジで行ったとの事、また、そこで撮影された写真も掲載されており、どれも素晴らしいものばかりでした。 早速、グーグルアースを使って、調べてみるとロケーションは荒涼とした平原で視界も広く、人口も200人程度と少ない上、建物から離れると、当然光害の影響もなさそう。何より、今まではケアンズを拠点に、比較的近いマリーバまで1時間弱をかけて車を飛ばし、撮影に行っていたことを考えると、ロッジから出てどこでも撮影ができ、機材も組み立てたまま移動も可能な環境に大きな魅力を感じたのでした。 天文ガイドから宿泊場所についてはある程度、情報が得られたことから、次にオーストラリアに行く場合は、ここ!と決めて、計画を立てていきました。 実は当初、2015年の6月下旬に行く予定で計画を組んでいたのですが、出発2か月ほど前に仕事の日程とバッティングしてしまい、結果、丸1年先延ばしとなりました。 |
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食料等、物品の調達 チラゴーはケアンズから直線距離では200qほどですが、車で行くには国道1号からバークデベロップメントロードを通ってチラゴーに入ることになります。 総距離で言うと300qほどでしょうか。時間にすると3時間から4時間ほどかかります。また、チラゴーは万屋的な小さなお店はあるのですが、品揃えは少なく、朝食用のパンや飲み物などできればチラゴーに入る前に調達しておきたいものです。 さて、そのような物品の調達場所としてケアンズ市内が挙げられますが、ケアンズ到着が早朝5時、空港から市内まで距離がある上、調達しようと思っても、早朝ゆえお店自体がまだ開いていないのです。 入国審査を終えると、時間は午前5時半ころになります。その後、空港内にあるレンタカーのカウンターで出庫手続きをして、午前6時。手続き完了後、すぐにチラゴーに向いて出発すると、タイミング的に午前7時ごろにマリーバという街に到着となります。 ちょうどマリーバにはコールズという大きなスーパーマーケットがあり、開店は月〜金曜日はなんと午前7時ですから、時間がかなり有効に使うことができます。ただし、土日曜は午前8時の開店となりますので、注意が必要です。ここには、簡単なフードコートもありますので、朝食を取ることも可能です。 コールズではたいていの物が買えます。朝食用のパンやジュース、ハム、サラミ、そしてビール。また、電源用の乾電池も売っていますので、日本からわざわざ持って行かなくても大丈夫です。お値段は日本とあまり変わりませんが、肉類や牛乳、パンは比較的お安めです。 参考までにビールはオーストラリア・クイーンズランド州の地ビール、XXXX(フォーエックス)が350ml、30本入りのケースで約50ドル。日本円で4000円ほどとなり、1本が130円程度。余れば日本へのお土産にも最適ですから、お酒を飲む方は、購入をお薦めします。 |
午前7時開店のマリーバのスーパー「コールズ」 |
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スーパーの陳列棚 すべてジュースです。決して洗剤ではありません。 売られているジュースや牛乳は2L〜5L単位が多いです。 |
カンガルー注意の標識 |
チラゴーまでの道のり 国道1号線を西へ進むと、前述のとおりマリーバに入ります。このマリーバを過ぎれば、あとはチラゴーまでほぼ1本道となりますから、道に迷うことはありません。 マリーバ以西は、2013年に訪れたハン川に行く道中のように、大変長い直線道路はありませんでしたが、信号も全くなく、距離にしておおよそ200qくらいの間、非常に快適にドライブできます。 そのような道ですので、運転も簡単です。実際、このオーストラリアツアーに参加される方には、ペーパードライバーであっても極力、国際運転免許証の取得をお願いしています。 と言うのが、交差点もほとんど無く、画像のような道がずっと続きますので、運転に慣れていない方でも野生動物にさえ気を付けていれば、問題なく広大なオーストラリアの大地を運転でき、思い出のひとつとしていただけるからです。 今までの渡豪でも、日本では一度も運転したことがないペーパードライバーの方に運転してもらったり、2016年には運転歴の浅い大学生にも運転してもらいました。 さて、この道路、チラゴーの60qほど手前にあるペットフォードという集落を過ぎたあたりから、道路上のところどころにカンガルーやワラビーといった動物の亡骸を見かけるようになります。これらは夜行性の動物ゆえ、昼間に車を運転している時には見かけることがありませんので、おそらく夜間に轢かれたものでしょう。中にはびっくりするくらい大きな蛇の亡骸もありました。 他にも、牧場の中を道が通っていて、牧場と道路の境にはフェンスの設置などありませんから、牛が道路に出てきているのを時々見かけます。ただし、牛はカンガルーやワラビーと比べると動きが遅いですから、急に飛び出してくることはありません。そのため、ぶつかる確率は少ないのですが、レンタカーで移動している場合、万が一大きな牛にぶつかると車を破損しかねないので本当に気を付けないといけません。 ちなみに、牧場の中を通る道路では、原則牛優先となります。 そういったこともあり、オーストラリアでは車で長距離を移動する場合、できるだけ視認性の良い昼間に走行した方が無難です。実際、チラゴーへの往復は、昼間に行いましたので、カンガルーやワラビーを轢くということはありませんでした。 ただし、これらの動物達には、夜間、天体写真撮影中に改めて恐怖を味わわされることになります。 |
ここの道路は牛優先です。 |
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チラゴーまでの最後の10qほどが ご覧のような未舗装道路です。 |
撮影地のロケーション はっきりしたことはわかりませんが、天文雑誌のツアーなどでは、ロッジ周辺や、その北側にあるキャンプ場で主に撮影を行っているようです。 もちろん、上記の場所も空が十分暗く、撮影地としては問題ないのですが、ロッジやキャンプ場を取り囲むように木があったりして、円周魚眼など使って壮大な天の川を撮影しようと思うとこれらの木が少し邪魔になります。 そこで私たちはこのページの最初にもあるように、空港の近くに陣取って撮影を行っています。ここは、飛行機の離発着に邪魔になるような高い木は全くなく、ロケーションは下の画像のとおり、東西にある小高い山さえ気にしなければ、360度ほぼ視界が取れます。さらに、空港付近まではちゃんと舗装されており、宿泊するロッジからはほんの1qほどしか離れていませんので、車をゆっくりと走らせれば、機材を組み立てた状態で、車の荷台に積んで運ぶことも可能です。 |
撮影地の南方向 |
撮影地の北方向 |
迫りくるワラビーの恐怖 チラゴーの街には、野生のワラビーが多く棲んでいます。昼間は草むらの中にでも隠れているのでしょうか。あまり見かけることはなく、たまに画像のように人間から距離をおいて遠まきに顔を出す程度です。ただ、いたるところにワラビーの糞が落ちており、それらは人が住む住宅や施設の敷地内でも例外ではありません。 前述のとおりこれらの動物は、夜、活発に活動しますので、天体写真を撮影しに行っている我々と活動時間が丸かぶりとなります。 夜間、赤道儀をセッティングして撮影を行っていると、あちこちからガサガサという音が聞こえ、時には10mくらい横をピョンピョンとワラビーが走り去っていきます。ワラビー達からは、こちらが見えているのでしょうけども、こちらからはあたりが暗い上に、撮影中はライトをつけることもできませんから、その姿はなかなか確認することができません。 また、天体写真はほとんどインターバル撮影、特にタイムラプス撮影などは、ロケーションを優先して、撮影者から少し離れたところにセットし、機材をほったらかしにすることも多いのですが、この時は、さすがにワラビーの激突等が怖くて、自分の半径3m以内にすべての機材をセットして万全を期しました。 大人数で陣取ると、人間がいる範囲も広くなりますから、大丈夫だと思いますが、ひとりの場合は少し不安になります。実際、数人で撮影に出かけたものの、午前3時ころ他の方々は撤収され、撮影ポイントでひとりになった時は、迫りくるワラビーたちにかなり不安になりました。 |
野良ワラビー |
夜空の暗さ |
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チラゴー近郊の光害(ご覧のとおり、まったく光害はありません。) (Cooperative Institute for Research in Environmental Sciencesのホームページより) |
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空港近くの撮影ポイントでの天の川 撮影データは画像のコーナーを参照 |
チラゴーでの黄道光 |
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チラゴーでの夜空の暗さは上の画像を見ていただくとわかるほど、間違いなく一級品で、宿泊しているロッジ周辺には照明があるものの、50mも離れると、天の川の暗黒帯もはっきりと確認することができます。また、5月から10月くらいまでは乾季となりますから、晴天率の異常な高さに加え、透明度もたいへん良く、昼間、快晴の青い空を見ると、夜の撮影を考えて気持ちがワクワクしてきます。 ただし、ハン川がそうだったように、撮影条件が最高のチラゴーでも黄道光の明るさはすさまじく、冬にあたる7月なら夜8時くらいまでの西の空、また明け方4時以降の東の空を撮影すると、黄道光がたいへん邪魔になります。12月や1月といった、現地で言う夏の時期であれば、時間的に夕方はもっと遅く、明け方はもっと早く影響があると思います。 2016年7月のツアーに参加した方で、初めてオーストラリアで撮影される方がいらっしゃったのですが、行く前に「黄道光が撮影の邪魔になる。」とお話しても、ご自身が経験されるまで、なかなか信じてもらえませんでした。 黄道光自体の絶対的な明るさは、オーストラリアでも日本でも同じだと思います。つまり、その存在が邪魔だと感じるほど、ここオーストラリアの空のバックグランドが暗いのです。 |