観測報告

報告先

日本変光星研究会では原則、観測データの報告受付を行っておりません。国内で観測される変光星のデータは、VSOLJ(日本変光星観測者連盟)に集約されているため、ご報告は各自 VSOLJ に行って頂きますようお願い致します。

報告を行うには vsolj-obs というメーリングリストに登録をします。詳細は以下のページの記載事項をお読み頂き、各自電子メールで手続きを行ってください。

 


※1)VSOLJ に報告されたデータは他の変光星団体や国外で公表されることがあります。

※2)vsolj-obs に登録すると、他の観測者の報告データも受信することになります(月100~200通飛び交います)。

※3)もし大量のメール受信が煩わしい場合は、vsolj-obs からのメールを受信のみ停止することが可能です(下記参照):

   ml-command@cetus-net.org 宛に "off vsolj-obs" とだけメール本文に書いて送信してください。

   vsolj-obs の配信は停止されますが、登録は継続されるので、観測報告は可能。

 

 

報告形式(STD形式)

VSOLJ に観測報告を行うときは必ず専用の STD 形式をご利用ください。これは膨大な観測データを後に光度曲線や解析で利用しやすくするための国内独自の形式です(全て半角英数字で記述)。記述の順序としては、天体名・観測日時・等級・観測者符号となります(下記の例も参照)。それぞれ何を意味しているのか、詳細は以下の通りです:

 

 

◆天体名

上記の例でいくと、これは R Sct (たて座R星)を意味しています。STD 形式では、星座名(略符) + 通し記号(or 番号) という順序で記述します。

ただし、変光星の多くは

 

 通し記号 or 通し番号 + 3文字からなる星座の略符号

 例: RS Oph, V1500 Cyg

 

という順序で、名前がついています。つまりSTD形式は通し記号 (or 番号) と星座名が逆になっているのでご注意ください。上記例の RS Oph や V1500 Cyg を STD 形式で表記する場合は、

 

 例: OPHRS, CYGV1500

 

となります。変光星の総合カタログ(GCVS) や、それをベースとした星図ソフトによっては、3桁(数百番台)の通し番号であっても、4桁として「0」を表記していることがあります(例: V0505 Sgr)。しかし、この場合 VSOLJ に報告を行うときは「0」をつけないルールになっています(例: SGRV505)

 

 一方で GCVS には NSV (New Suspected Variable; 変光星かもしれない) という天体もあります。もし NSV の通し番号がついている場合は、その名前で報告してください(正式な変光星名がある場合はそちらを優先)。NSV の通し番号は5桁で表記されていますが、この場合「0」は省略せずに報告してください。

 

 例:NSV00001

   NSV02222

 

【豆知識】変光星の名前

 変光星名の通し記号はアルファベットの "R" から順に記号がスタートしていきます。順に "Z" までいくと、次は "RR, RS, ......., RZ, SS, ........, ZZ" という具合にアルファベットを連ねて表記します。このアルファベットによる方法だと334番目まで表記できます(※なお変光星の場合 "J" は使いません。"I" と間違えやすいため)。それ以降は V335, V336, ..... という具合に、数字を使って表記していきます (V は "variable star (変光星)" の頭文字)。

 

 

なお、変光星の中には旧来よりバイエル符号が与えられているものもあります。例えば食変光星のアルゴルは β Per (ペルセウス座ベータ星)、脈動変光星のミラは ο Cet(くじら座オミクロン星)となっています。もしこれらの変光星を STD 形式で報告するさいは、

 

 アルゴル → PERbeta

 ミラ   → CETomicron

 

としてください。もし星座の略符号がわからない場合は国立天文台のサイトをご参照ください。ギリシャ文字の表記方法については以下をご参照ください:

ギリシャ文字 英語表記 ギリシャ文字 英語表記
α alpha ν nu
β beta ξ xi
γ gamma ο omicron
δ delta π pi
ε epsilon ρ rho
ζ zeta σ sigma
η eta τ tau
θ theta υ upsilon
ι iota φ phi
κ kappa χ chi
λ lambda ψ psi
μ mu ω omega

 

ちなみに、変光星の中には新星矮新星など、新しく発見される天体があります。これらの天体の発見初期は仮の呼び名で観測・報告されているのが習慣となっています(天体の座標やサーベイ名の場合もあります):

 

例:SGRnova2020 (2020年いて座新星 / IAU の仮符号)

  SGRnova2020-2 (2020いて座第2新星/   〃  )

  PNVJ19150199+0719471

  TCPJ18104219-1534184

  ASASSN-20ga(ASAS-SN の表記)

 

もし途中で正式な変光星名が IAU から付与されたときは、その名称を使ってください。ただしなかなか正式名がつかない場合があったり、発見したサーベイプロジェクト名のまま、統一的に扱う場合もあります。VSOLJ に報告される場合は、以下の例もご参照ください(基本、スペースは使いません。例外的にアンダーバー "_" を使っているものもあります)。

 

例:SDSSJ155720.75+180720.2

  1RXSJ231935.0+364705

  RXJ1715.6+6856 20200712204247

  CRTSJ170343.5+090835

  OT_J182142.8+212154

  MASTER_OT_J184353.33+000350.9

  Wils_SDSSJ170810.31+445450.7

 

一方で超新星の場合は(スペースを含めず)、

 

例:SN2020jfo

 

という表記になります。SN は supernova を意味し、その次の数字は発見年、続いて通し記号となります(過去、通し記号は2文字でしたが、近年発見数の増加に伴い3文字となっています)。

 

 

◆観測日時

観測日時は

 西暦年+月+日+時刻 (日本時間)

で表記します (YYYYMMDDhhmm)。このとき、スペースは含めません(下図も参照)。

 

STD形式の場合、時刻の表記は33時間制となっています。上図の場合、一般的な表記をすると21日午前5時50分頃となるわけです。しかしながら、VSOLJ に報告を行うさいは、0時を超えても日付を変更せずに、午前0時は24時、1時は25時..... 6時は30時として報告してください。さらに、報告のさいは日心補正や地心補正は行わないでください。

一方で、CCD や DSLR (デジカメ) などのデジタル機器で観測をされた場合は、露出中央時刻を採用してください。加えて、もし短いタイムスケールで変光するような星を一晩のうちに連続して観測 (time-resolved photometry; 連続測光観測) をした場合は、秒まで表記することを推奨いたします(以下、例 / YYYYMMDDhhmmss)。

  BOOUZ 20130802210552 12.970C Iak
  BOOUZ 20130802210653 12.950C Iak
  BOOUZ 20130802210755 12.910C Iak
          ・
          ・
          ・
  BOOUZ 20130802232949 13.097C Iak
  BOOUZ 20130802233050 13.063C Iak
  BOOUZ 20130802233151 13.085C Iak

 

◆等級

眼視観測の場合
 観測された等級を10倍して表記します。原則、少数第一位まで。

 例) 6.0等  → 60
    0.7等  → 07
    11.6等  → 116

もし目測が不正確だと考えられる場合は、数値の後ろに ":" (コロン) を付け加えてください。さらに、目標天体が見えないときは、その星野で見える最も暗い星を調べ、その光度値の前に "<" を付けます。

 例) 135: (13.5等かもしれない)
    <141 (観測対象が見えないので、14.1等より暗いはず)
CCD観測の場合
 観測値(等級)は等倍(眼視のように10倍せずに)で報告します。ここで、重要なのは光度体系記号を等級値の後ろに必ず添えることです。CCDの場合、どの波長帯(色 / フィルター)で観測されたデータなのかを明記することが必須となります。測光の場合、観賞撮像に用いられる LRGB フィルターは用いられることはなく、測光用の専用フィルター U, B, V, Rc, Ic(ジョンソン - カズンズ)の利用が基本となります(ただし、no-filter で観測される場合も少なくありません)。

 例) 10.21V
    12.00Rc
    9.443C
    149C
    153:C
  ※1)観測精度によりますが、小数第2~3位まで表記します。
  ※2)もし少数第一位までしか精度が無い場合は、眼視観測と同じく10倍した数値で報告します。

参考: 【測光システム(天文学辞典)】, 【測光標準システム(市川, 1997, 天文月報)

U 紫外線域 (ultraviolet)
B 青域 (blue)
V 緑域 (visual)
Rc 赤域 (red)
Ic 赤外域 (infrared)
C no-filter
デジカメの場合

デジカメで撮影されたデータを測光した場合はよく "cG" という記号が用いられます。これはデジカメのカラー画像を RGB 分解し、G画像について測光した場合に使います(このとき、フィルターは用いられていない、という意味でクリアーの "c" が添えられています)。このとき、比較星の等級は V 等級を用いるのが習慣となっています (G画像とVフィルターの透過波長域が似ているため)。一方で、あまり報告例は多くありませんが、もし RGB 分解された画像において、 R や B を測光した場合は "cR", "cB" としています。ただし、それぞれ比較星等級を測光標準システムの R 等級及び B 等級と比較した場合に利用してください。

なお RGB 分解せずに、そのまま測光した場合は小文字の "c" だけを添えてください。

 

例:4.56cG

  101c

  152:c

※1)観測精度によりますが、小数第2~3位まで表記します。

※2)もし少数第一位までしか精度が無い場合は、眼視観測と同じく10倍した数値で報告します。

 

【参考資料】

 

 

◆観測者符号

観測者の氏名より、アルファベットにて3文字で表記されます(STD形式では頭文字を大文字にします)。

略符の発行を希望される方は、当会にご入会頂くことで発行されます(会員限定の会誌閲覧にも必要なため)。一方で、当会に入会せず vsolj-obs に報告することもできるため、その場合(まだ観測者略符をお持ちでない方)は、vsolj-obs に略符を抜いた状態で報告するか(追って VSOLJ 内で発行されるはずです)、または下記の窓口までお問合せください。

宛名:広沢 憲治 氏